ショウセツーオリジ

□イモウト
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気付いた時、友生(ゆき)は一人残されていた。
窓ガラスの向こうで、今にも落ちようとする夕日。がらんとした生徒会室の空気も黄昏色に染まっている。
…友達甲斐のない奴等だ。
溜息を吐きながら、右上が折れ曲がりほぐれつつあるファイルを閉じた。そのままカバンに入れ、帰り支度をする。
戸締まりをしようと、茜色に染まりつつある窓に歩み寄る。アルミ製の窓枠に手を掛け、―見つけた。
「広輝!」
一つ年上、背の高いスポーツ刈りの少年が、名を呼ばれて振り向いた。
バッグを持って肩に引っ掛けたのとは反対の手を、ひらひらと振る。
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