ショウセツーオリジ

□未定
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いつまでも、ぼんやりと空を見つめていた。


「…おいお前、何時からそこにいるんだ?」


夕焼けの朱が、隙間なく敷き詰められた雲に溶けてじんわりと滲む。
年の頃は十五・六歳、色素の薄い髪は首筋を覆うほどの長さで、一見しただけでは性別は分からない。
比較的薄い胸板が少年のようでもあるし、華奢すぎる手足が少女めいてもいる。
人形と見紛うほどに動かず、時折なされる瞬きだけが見る者に僅かに生を伝えた。

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