その他×陽子

□六太陽子
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花薫る


「陽子!!」

緋色の髪を見つけて六太は迷わず抱き着いた。
「延台輔!?」
一方、抱き着かれた少女は驚きながらも優しく受けとめる。

「元気そうだな」

その優しい腕が、暖かな温もりが、彼女の全てが嬉しくて自然と笑みが溢れる。
「はい、延台輔もお元気そうで。」
ニコリと微笑みながら、お茶を出しますね、と手際よく持て成しの準備をし始めた。

椅子に座りながらも相変わらず綺麗だ、と無意識に笑う。

「どうかしたのですか?何か良いことでもありました?」

”良いこと”と言えばこれは確かに良いことで。
けど、”何が”なんて事じゃなくて、ただ、うん、とだけ頷いた。

「雁もご健勝で何よりです」

延麒(オレ)が良いことと言えば、雁の吉兆の事だと思っているらしい。
一瞬黙った俺を見て、陽子は首を傾げた。

「?違うのですか?」

ふわりとお茶の香が漂って、差し出された茶器に手をつけた。
「いや−−違わない、けど」

確かに延王(あいつ)も相変わらずで、いや、陽子が王になってから以前より王気が強くなった様に感じる位で…雁は多分『ご健勝』で間違いないんだけど。

良いことがあったのは『俺』で。
その原因は『陽子』で。
国とか王とか麒麟とかじゃなくて。

嬉しいんだ。
陽子と会うのが楽しみで、とても素敵な事に思える。

長年あいつの側にいて、確かに俺は「延」の麒麟だからあいつがいないと困るんだけど、それとは別の感覚。
あいつがいなくなると不安になるけど(いても多少不安だけど)、陽子がいないと淋しくなる。
あいつがいると心が落ち着くけど、陽子がいると心が暖かくなる。


俺はちらりと陽子を見るとニコリと笑んだ。
陽子もつられたように赤い髪を揺らしてニコリと笑う。

つまりは、陽子の側はスゴク居心地が良くて。

−−…きっと、あいつも同じなんだろうな。
そう思いながら、近付いてくる王気を感じた。




END



それまで、独り占めさせてもらおうかな♪
ニヒヒ



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