その他×陽子
□例えばこんな昼下がり
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「延台輔?」
やっと見つけた延の麒麟は気持ち良さそうに木陰で昼寝の真っ只中だった。
資料を枕にして、くぅ、と寝息を立てる。
起こすには余りにも忍びなくて…
けれども、もう帰らなければ明日の朝議に間に合わない。
「どうしよ…」
小声でぽそりと呟き、途方にくれそうになった時
『景王』
陰からでできたのは彼の女怪だった。
『お見苦しい所をお見せして申し訳ございません』
「とんでもない。昨日遅くまで資料探しを手伝って頂いたから疲れているんです…」
申し訳なさそうにそう言った景王は、手に分厚い資料を数冊を抱えている。
「寝かせておいてあげて下さい…すみません」
『では、台輔には私から伝えておきましょう。遅くなっては皆様心配なさるでしょうから。』
「でも…」
『どうぞ、お気になさらずに』
未だに気持ち良さそうに眠る麒麟。
「うん、ありがとう」
優しく笑うとぺこりと頭を下げた。
「じゃあよろしくお願いします」
『御意』
うん、と頷いて
身を翻した景王。
けれども
数歩で歩みをとめた。
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