延王×陽子

□優しい花が咲く頃に
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それは優しい花だった


見ている者を幸せにする

そんな優しい花でした







「陽子」


振り向いた少女は
美しい笑顔で男を迎え入れた


「いらせられませ、延王」


流れるように礼がなされ

まとめあげられた長い髪に付けられた髪飾りがシャランと乾いた音を立てた




思わず見とれて
それが自分が贈った物だと気付くのに時間がかかった。

「良くにあっている。」

「ありがとうございます
……ですがこんな高価な髪飾りを頭に着けていては色々と気が気ではありません」

ほとほと困り果てた様子に
相変わらずだな、と苦笑した。


「それ一つで済んだのだ、感謝はされても文句を言われる筋合いはないぞ」

そう、確かにその通りだ
髪飾りその物の価値に加え
延王からの贈り物という付加価値があるからこそ
冠やら珠やら櫛やらのせ放題の頭から逃れる事ができたのだ

あの重みと煩わしさを思い出し
考えただけでゾッとした
「……………感謝しきれません」

「うむ」
くつくつと笑いながら出された杯をあおる。

「笑い事では有りません…
一度、延王も経験すればいいのです」

溜め息混じりにボヤく女王を肴に
笑いながら男は杯を進めていた。




 
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