延王×陽子

□雪の華
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雪が降っていた。

地面に辿りついても溶けないほどの、牡丹雪。


しんしんと降り積もり、既に辺り一面雪景色。


待ち合わせの場所は使令が見つからぬように少し街から離れた野原。そこにある桜の下で。

春になれば美しく咲き誇るその桜は、今は雪の華を咲かせている。



――…よりによって雪とはな。



いくら王とはいえど天候までは思うようにならない。

息は、白く凍って消えていく。



聞こえるのは雪の降る音。



何もかもが真白の世界。




 
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