歪んだ空

□土砂降り
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その日は酷い雨だった。

たたき付けるように空から落ちて、街を濡らす。


持っていた傘は役に立たず、お気に入りのスカートはびしょ濡れだった。


雨の日は嫌い。
何もかも上手く行かない気がして。


どんよりした暗い雲も
湿った空気も、
憂鬱にしかしない。


靴も靴下も脱いで歩きたいほど意味を成してはいない。歩く度に不快感だけが募る。


雨は嫌い。
そういえば最近見る夢も雨音がする。
雨音というよりは水が滴る音だろうか。



考えながら足速に歩を進めていると
車が水溜まりの水を跳ね上げて、それがそのままビシャリと掛かった。


泣きたい様な怒りたい様などうしようもない感情に涙がでそうだった。



一番嫌いなのは
自分。



どうにもならない気持ちを持て余して、少女は駆け出した。

暗い雲から雨が降る。

既に服はビチャビチャで
走る度に泥が跳ねる。


嫌い、嫌い。
このまま溶けて消えちゃえばいいのに。


上がっていく呼吸と
降り注ぐ雨の冷たさと
脈打つ心臓と
纏わり付く服と


何もかもが
嫌で



嫌で




訳もわからない爆発しそうな感情がぐるぐると渦巻いているのに

どうすればいいかさえ見つからない。





走って、走って
走ったその先に、
待っているゴールは
一体誰が望んだ未来なんだろう。





END





 

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