ss/H
□最果ての君へ
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どれほどの日々が流れたのか。
数字にすればそう短い時間じゃないはずだけれど、刹那は長いと思えない。
ロックオン。
いつも彼へ呼びかける。
(刹那)
無言の返事で揺れる心にも慣れてきた。
とりとめないことも、傷つけたことも、ふわりふわりと浮かび上がっては落ちていく。強い衝動に揺さぶられても、少しずつ消えていく。
繰り返し、繰り返し。
刹那は彼と一緒に旅をしている。
綺麗なものをみつけたとき、疲れたとき、彼に話しかける。
あれは綺麗な夕陽だった。
これは苦労した。
お前はどう思うんだ?
(いいところだな)
(おつかれさん)
想像した創造の彼はいつも笑顔だ。
彼と旅する世界に彼はいない。
彼と、俺と、皆で望んだ『せかい』
正しかったのか、間違っていたのか。
刹那はわからなかった。
だから刹那は旅をする。
『せかい』の答えを知るために。
この旅に果てがあるのなら。
…ロックオン。
そこへ辿りつけたら会えるだろうか。
その時はどんな顔をするか、楽しみにしている。
(願わくば彼の笑顔が見られますように)
2011.2.6