僕<彼女
□W
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「すーっごい楽しかったです!!!」
小さすぎるデパートを背にして、紙袋を抱えた彼女は僕に満面の笑みを向けた。
僕も荷物を力強くあげた素振りをして
「楽しんでもらえたなら光栄だ」
そう言って僕と彼女は歩き出す。
僕の家に向かってるけど方向いいのか?
そう思ったけれど声には出さない。
暫く歩いても少女は僕に語りかけてくる。
家は同じ方向なのかな?
若干の心配と、でっかい迷惑を抱えて、疑問符まみれになった僕の頭は限界を迎えたから相槌を打つことを止めて彼女に聞いた。
そしたら彼女は「あ、同じ方向ですから心配ご無用」と笑顔。
僕は「そっか」としか言う事が無かった。
それから僕は彼女と他愛の無さ過ぎる会話を交わした。
ただ僕が彼女に適当に集めた質問をしたり、されたり。
しりとりしたり。
暫くしたらもう僕の家だった。
夕焼けが僕の目に眩しくて、静かーな住宅街の僕の家周辺は少し荒んでて、
昔ながらの風景ってやつ。
横切るゴミと、それを漁るカラスは目に良くないね。
「結局僕の家の前まで来ちゃったけど…送ろうか?」
僕も一応心配する心とかあるんだよ。
っていうか彼女が事故とかに巻き込まれたら僕が面倒だから表面上の世話ってやつ。
「いや、大丈夫ですよ?こんな子供を目にはかけませんよ」
(いや、そんな白いワンピース着てたら目立つだろ)
とりあえず世間知らずのお穣様なんだなと感心。
伯父さんも一人にしちゃアカンよ。
でもさっきからどうも家を見せたくないみたいな素振り。
反抗期なのか?
「…いいのかい送らなくて?」
「大丈夫ですったらー」
そう言って僕に手を振りこの場を後にしようとする。
僕も家に入ろうと、思ったけど。
「あ、の、玲くん!!!!」
僕の名前を呼ばれた。
ついでに本日二度目。
「?」
思わず僕の目は丸くなっちゃったかも…知れない。
「明日、会いに来ていい????」
精一杯の言葉だったのか、頬が赤い。
生憎僕はロリコンとかじゃ無いので変な意味とかは持たないけど自然と顔がほころぶ。
「いいよ」
そう僕が言うと御得意の笑顔に戻り、
「ありがとう!!!」
と言ってスキップしていった。
妹に居たら毎日楽しいだろうねー。
っていうか、さ。
彼女の名前とか、どーっかで聞いたことあるんだけど僕。
声とか脳裏に張り付いているのは気のせいなのかね?
思い出せないけどさ、懐かしい気がした。
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