僕<彼女

□X
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まだ6月だけど妙に暑かった今日、この日、この時。



朝。

妙に目覚めは悪かった。









「…ぁー…っ」




あくびなのかため息なのか、それともただ発した言葉なのか。

僕は何か言葉らしきものを漏らした。



どうにでもなるわけでもないのに。

(全く…)

僕はいつからこんなにもひねくれ者になってしまったのか…。




ふらふらとベッドから降り、慣れた仕草でドアを開ける。

途中、立ち眩みにあって階段に足を躓けて下に転げ落ちそうになった。






そして一息。

スライド式のドアを開けて一言。





「おはよう」





*****




AM8:00


ちょうど僕が起きて小一時間経っている。

寝起きは機嫌が悪いんだよ僕。



朝ご飯も毎日僕の喉に通らなくてほぼ全部食べてない。

だけど母さんはいつからか僕には過保護だから何も言わない。

別に日常だからいいけど何故かイライラする。



絶対に低血圧なんだって!←自己解決





現在機嫌は良好、僕はいい気分、るんるーんとでも鼻歌を歌う気分。





とりあえず何もすることが無くて暇だから散歩でもしよう。

そんなことを頭の隅で思って2.5秒後行動に移す。



着替えは済ませてあるから適当に金を財布に入れてジーパンのポケットに入れた。

別にいつもは金なんか持ってないけど、今日はなんとなく。


(あの子の事が頭に浮かんだ…からかもしれないのは僕もロリコンに目覚めたのだろうと自分を嘲笑う)





財布を盗まれない様にとかの配慮は一切なし。

そして始動。




ドアを開けて外の光を浴びる。

別に気持ちいいーとか思う訳無いけど。






そしてふらふらとあても無く歩いた。

熱い、熱い。太陽が熱い。



だから見知らぬマンションの日陰に逃げる。
温度差は意外とあって、たまに吹きつける風が僕の頬を通り過ぎると若干背筋がすー…っと涼しくなった。




「早く帰ろう…」


ぶつぶつと呟いたら近所のおばさんに汚いものを見る目で見られた。

全く…酷いな!!





逃げるようにしてその場を去る僕。

小走りなんて暑くてする気にもなれないから歩く。


逃げるようになんて満更無かった。








適当に走って10分位。

人通りの多い道に入ると人の熱気と声で気分のボルテージは100下がったかも。



とりあえず凄く暑いし気持ち悪いから近くのコンビニに突入することにした。

適当に飲み物…コーラでも買って今日は帰るか。

病院に行く理由も無いし。(薬は昨日貰ったからね)



一人で自己解決!(何を)

とりあえずもう少し涼みたいから雑誌をぱらぱらと捲る。

大きく開けているガラスから見えるのはハンカチで汗を拭う人という名を借りたゴミ山。

僕もその一人だーって思うと吐き気がする。


雑誌を読みながらゴミを見ていると、ふと…しろーい小さいのが見えた。






…―――――彼女だ。





相変わらず真っ白なワンピースを着て何も持たず一人で歩いていた。

茶色混じりの真っすぐな薄い髪(別にはげている訳じゃ無くて)を四方八方に靡かせている。

なのに額はあまり見えなかったけど全く暑さを感じさせないようだった。




通りをきょろきょろと見渡す彼女は言っていた通り、ここは地元では無いんだと確信した。多分。

服装とその容姿とかなんとかで辺りの目線は瞬間、彼女に向けられる。


おそらく思われてるのは「迷子ー?」とか「何処のお穣様ー?」みたいな感じだろう。

僕も初対面ならそんな第一印象を受ける筈。



まぁあの時は死ぬことしか考えていないからウザい子供だったけど。





なんて僕が勝手に人の印象を決めつけていたら彼女の姿は消えかけていた。



(てかなんでいつも一人なんだよ)



「(おじさんがここに住んでいるんです。今日は遊びに来たんですよ)」



いつかの彼女の言葉が脳内に浸透してきた。

おじさんとやらは僕は一度も見ていない。


っていうか彼女にあったのもまだ2回。



だけど妙に懐かしいというか…うん。

彼女に昨日会った時、凄く懐かしい感じがした。気がする。






(なんで一人なんだろうねー、ホント)


気になる。

凄く気になる。


何故かここで彼女を追わないと駄目な気がした。








雑誌を置いて何も買わず店を出た。

店員の言葉なんて聞こえる筈なかった。







僕は、彼女を追う事にした。


(まぁ丁度いい暇つぶしになるなんて思っていただけなんだよ結局のところ。ね。)









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