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□アジアン彼氏
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綱吉は、公園にいた。
昼前の、めちゃくちゃ賑わって子供が元気に遊んでいる公園。

なぜここにいるのか。

デートだ。
普通に考えたら女の子とのデートだろう。
綱吉も思春期だし、異性に興味が出てくる年頃だ。

だが違った。
デートはデートでも、男とデート。それもとびきり特上ランクの。

綱吉は、常々自分にはもったいないと思っていた。
優しくて、気遣いができて、背高いし強いし美人だし。
でも、そんなことを本人に言うと、困った顔でこう言ったのだ。

『私は、貴方が思っているほど出来た人間ではありませんよ?自分を卑下しないでください』

そう言われてから、綱吉は『オレなんか・・・』と考えることが少なくなっていた。



綱吉は、先程から腕時計をチラチラと見ていた。

と、その時。

「すみません、お待たせしてしまいましたか?綱吉さん」

黒髪三つ編みの中国人美少年が綱吉に声をかけた。

「風さん!オレもさっき来たんです」
「そうですか、よかった」
ふわりと微笑んだ風に、綱吉はほんのりと頬を赤く染めた。

「あ、今日はチャイナ服じゃないんですね」

珍しい。
首を傾げる綱吉に、風は苦笑した。

「さすがに街中でチャイナ服は目立つだろうと思いまして。 ・・・似合いませんか?」

ちょっと困ったふうに笑う風に、ブンブンと首を横に振った。

「い、いえ!逆に全然違和感ないし、それに・・・その、」

チャイナ服と同じくらい似合ってて、すごくカッコイイです・・・。

最後の方は小さく言った。風はクスリと笑う。
(綱吉さんは、こーいうリアクションがすごく可愛いんですよね)

実際、風はカッコイイ。
いつものチャイナ服ではなく、日本の都会に馴染む服装だ。

ニット帽にジャケット、ジーパン。
みんなが普通に着てるような服も、風が着れば正装のようにも思える。

(・・・美形ってずるい)
心の中でため息をついた綱吉だった。







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