BOOK
□アジアン彼氏
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「・・・あ!風さん、ドーナツ食べませんか?ちょうどミスドがセールやってるんです」
車屋からまた少し歩いたところに、某ドーナツチェーン店がある。
そこでは、『ドーナツ全品100円!』セールをやっていた。
「そうですね、お腹も空いてきましたし、そろそろお昼にしましょうか」
「はい!」
お昼にドーナツを食べるカップル。
これが普通の彼氏彼女だったら、彼女に嫌われるだろう。
太るだろうし。
ウィーンと開いてお出迎えする自動ドアをすり抜けて、ドーナツコーナーに行く。
オーソドックスな茶色いドーナツから、ピンクやら白やらいろいろなドーナツに、思わず綱吉の目もユラユラと行き来する。
トングを片手にうんうん悩む恋人の姿に、風は微笑ましい気持ちになった。
「綱吉さん、そんなに悩まなくても、好きなものを取ればいいですよ?」
トレイを持ってクスクスと笑う風に、思わず赤くなった。
「う・・・好きなものはあるんですけど、新商品も出てるし・・・定番でいこうか新商品でいこうか・・・」
「では、両方買いましょう」
育ち盛りで食べ盛りなんですから、遠慮しないで下さいね。
にこりと笑って自分の分を取りはじめた風に、綱吉もいろいろと取ったのだった。