BOOK
□魔法mix
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ツナは、森の中を通ってヴォルデモートのいる丘までたどり着いた。
あちらさんの総大将は、高みの見物を決め込んでいるらしく、先ほどの燃焼呪文以来仕掛けていない。
「ハリーは渡さないよ、トム」
「!!」
驚いた。もっとも、そんな感情を表には出さなかったが。
「貴様は…そうか、ハリーの友達か」
「まあね。っと、あぶね」
近くに潜んでいたらしい死喰い人が、『死の呪文』を放った。少しだけ動いて避けたツナは、無言で『失神呪文』をかけた。
バタリと倒れる。
「オレと勝負しようよ」
「貴様と?…そうか、どうやら貴様には死への恐怖がないようだな」
今のツナは、殺気を抑え、いつもの戦闘時には溢れている純粋な強さを隠している状態。
『ただの子供』としてヴォルデモートが嘲笑うのも仕方ない。…だが。
「!!」
「残念だが、オレは負けるつもりは毛頭ないぜ」
額に静かな炎を灯し、一瞬にして間を詰めたツナに、咄嗟に反応出来なかった。
「が・・・っ」
「これでも多少抑え気味にしたんだが・・・さすがに死ぬ気の炎を使えないお前に10万はきつかったか?」
言葉だけ見れば気を遣っているような台詞だが、その台詞を口にしている張本人は楽しそうな表情をしていた。
「どうした?もう終わりか?そんなわけないよな、『闇の帝王』がこんなんで終わるはずないよな?」
「『アバダ…ケダブラ』っ」
「ナッツ」
血を吐きながらも呪文を唱えるヴォルデモートに、心底楽しそうな顔をしてナッツを呼び出す。
形態変化したナッツのマントで魔法を弾いたツナに、ヴォルデモートは目を見開いた。