稲妻
□はんぶんこ
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「…ヒロト、」
「どうしたの?」
「これ、見て」
「…?段ボール?」
「中に子犬がいる」
「本当だ、可哀想に」
「よいしょ」
私は子犬を抱き上げて、ヒロトに可愛いね、と見せた。
うん、と微笑したヒロトに見とれそうになった。
「可哀想だよね、」
「監督は、厳しいからなぁ」
「……飼ってあげたいなぁ」
『くぅーん』
「か、可愛い」
横で、ヒロトが子犬にやられている。
「内緒で飼っちゃおっか」
「…えへへ、飼っちゃおっかっ」
翌日、久遠監督に見事バレてしまったのは言うまでもない。
けどヒロトが頼んで、みんなでお世話することになった。
木暮がはしゃいでいる。
はんぶんこ
嬉しいことも
悲しいことも
ぜーんぶ、ぜんぶ
大好きな君と。