稲妻
□1人にしないで、
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別に晴也からサッカーを取りあげたい訳でも、
その愛を独占したい訳でもなくて、
ただ、何時ものように一緒に居たかっただけで。
それ以上は求めてはいけないわけで。
韓国代表の晴也を送らなきゃいけない、晴也が好きだと言ってくれた笑顔で。
「頑張ってきてね、」
「あぁ、ゼッテーに勝つかんな」
「晴也なら大丈夫、ね?」
「ったりめーだろ、」
「ねえ、晴也」
「なんだ」
「お願い、最期のお願い聞いてね」
「…最期じゃねぇって」
「キスしよ、」
「甘えん坊」
最期だもん、私の寿命はもうそこまで来ているから。
だから、お願い。私の我が儘を聞いて。
私の事、絶対に忘れないで…
1人にしないで、
そう願っているのは、
晴也のほうかな?
大好きな、晴也へ。
きっと貴方なら大丈夫、大丈夫だから。
最期の晴也の姿は涙で滲んで見えなかった。
「愛してる、」
「私も、」