稲妻
□そういえば
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「風介、」
「何だ」
「あのさ…」
「…」
「…やっぱ、何でもない」
「焦れったいな」
「…別れて欲しいの」
「…え?」
「私は、私は……風介が好きなのに、…っ」
冷たい風が生暖かい涙の熱を奪う。
二人の時が止まって、凍りついた。
今までの想いが流れ出ていくのが分かった。
もういっそ、言ってしまおう。
「っ……風介、私の事好きじゃ無いでしょう?」
そういえば、
貴方に会ったのも、
こんな日だったっけ?
思い返したら、
貴方に愛された記憶。
無かったのかも。
私は、本当に馬鹿だ。
好きだったのに。