稲妻

□出来すぎたストーリー
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「あ、ジャンルカが食堂に来いって言ってたよ」

「あ、了解、ありがとう」

オルフェイス宿舎。長い長い廊下を疲れきった表情のフィディオがすれ違いざまに微笑む。

…美しい、じゃなくて。


「ジャンルカあー」

「こっちこっち」

「今行くー」


広い食堂にはもうジャンルカしか居なかった。


「みんな、ご飯早くない?」

「ま、食べ盛りだしなあ」
「で、何か用事?」

「うん、来週練習休みだし、どっか行こうか」

「本当っ?!やったあ」


久しぶりに二人でお出掛け。本当に久しぶり。

……楽しみだなあ。



*当日*

「ジャンルカ遅っいなあー、」


辺りを見渡してみるが、それらしき影はない。

「…ったく、………あ」


「ねぇ、ねぇ、君いくつ?可愛いね、これからどう?」


………いた、またナンパしてるし…何回目?

私はジャンルカの元へいった。

そして、

―――――パシンッ


「痛ぇ!」

「………死ね!!」


咄嗟に出た言葉はナイフのように突き刺さる。
ジャンルカは目を丸くしてこちらを見ている。そのコも。


「……もういーよ」


逃げよう、もう立ってもいられない。ジャンルカに踵を返し、来た道を駆け足で戻る。

なんだ、ジャンルカは私なんかよりいい人が居るんだね。

もう私なんて―…っ

溢れ出したソレはいつもの倍は出た。

悲しかった?苦しかった?切なかった?悔しかった?
……儚かった。


「おいっ、待てっ」

後ろから聞こえてくる声。
「来ないでっ」

「待てっ、」

「やっ、」

気がつくと私はジャンルカの腕の中だった。

「離してっ、」

「……離してたまるか、こんな可愛いヤツ。」

「…もう嘘は止めてよ!!」

「嘘なんかじゃない、本当に好きなのはお前だけだ」

「それ前も聞いた」

「…………悪かった」

「え…」


始めてだった。謝られたの。


「…仕方ないから、許してあげるけど」

「ありがとう、大好き」



出来すぎたストーリー

こんな甘いのも

嫌いじゃない。



―――――――――――――――――――――――久しぶりです!明日もテスト頑張ります!

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