頂き物・捧げもの

□フリリク第1弾 
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部屋でゴロゴロしながらテレビを眺めていたら突然ケータイが震え出した。
「もし」
「明王!今、暇?」

まだ、もしもしすら言い切ってねぇのに。
「…なんだよ急に」
「明王んちまだコタツ出てる?」
「出てるけど、それがどうした?」
「じゃあ、今から行くからコタツ温めといて」
「は?何で…切れてるし」

ほんと身勝手なやつだやな。
そういいながらも立ち上がってコタツの電源を入れる。
電源ついでに、お茶でも淹れといてやるか。

そのまま台所に向かってお湯を沸かす。

そろそろ沸騰する…という所で、
勢いよく扉が開いた。

「明王!」
「思ったより時間かかったな」
「うん、お買い物してたんだ」

ほら、といいながらスーパーの袋を俺に見せる。

「…今度は何買ってきたんだよ」
「雪見だいふく!」
「は?」
「いや、冬季限定だから早く食べなくちゃね」
「いや、そろそろ3月も終わるけど?」
「えー」

ピーーー

やかんが鳴り出す。
沸騰したか。

火を止めて、コタツに潜りこんでいるあいつの為にお茶を淹れる。

「おい、お前アイス買って来たんじゃねぇの?溶けるぞ?」
「んーとね、少し溶けて柔らかくなったくらいが食べ頃なんだって」
「ふーん、ほらお茶」
「あ、ありがとー」

ふにゃっと笑うこいつの笑顔に俺は弱いんだよな。

「よし、食べよう」
「おう」

久しぶりに食うな、コレ。

「ん〜、いつ食べても美味しいね」
「そうだな。
ってか何でわざわざウチに来たんだよ」

「あのね、コタツで雪見だいふく食べたかったのに、それやる前にお母さんがコタツ片付けちゃったの」
「何でコタツ?」
「あったかい所で食べると幸せでしょ?」
「…じゃあ、夏に食えよ」
「もー、明王分かってないなぁ。夏に食べるのはかき氷とがりがりくんって決まってるの!」
「…そーかよ」

「ちなみにかき氷とがりがりくんはクーラーの設定温度少し高めで食べると幸せなんだよ?」
「…つまり、俺に付き合えと?」
「もちろん!私、シロップとかき氷機持ってくるから明王は氷作っておいてね」
「はいはい」

(明王、何味のが好き?
私はね、イチゴミルクなの)
(別に何でも食うけど)
(じゃあ、バナナと同じ色のレモンにしよう!)
(意味分かんねぇよ)

→あとがき
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