novel

□べ、別にお前のためとちゃうからな!
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「くそー、また同じ数かいな!」


「ほんまや!毎年毎年なんでこうなんや!俺のが男前やのに!」




「なんやと畑コラァ!俺のが男前にきまっとるやん!」




「あぁ!?んなこと言うたって数一緒やんけ!」





バレンタインのチョコ。毎年ずっと争っとるけど、また同じ数やった。
くそぅ、なんで俺が畑と同じ数なんや……




「カター、そろそろ帰るぞー。」




「おお。」


帰り支度のためにかばんを開ける。途端目に入ってくる、かわいらしいラッピングの袋。





「ぅオおっ!!!」




「どないした?カタ。かばんに変なもんでも入っとったんか?」





「お、おお!な、何でもあらへん!ほな、帰ろか!」





畑にかばんを覗き込まれそうになったのを慌てて阻止して帰るよう促す。

せやった……昨日窪田と一緒に作ったの、持ってきたんやった…すっかり忘れとったわ…

それでか。窪田が今日ちらちらこっち見とったんは……




くそ、いつ渡そ。今?でもなぁ、物事にはタイミングってもんがあるやろ。
いくらなんでも帰り道いきなりて、アイツも驚くわ。



でもなぁ…もうチャンスないで。家、すぐそこになってしもたし。
いっそこのまま渡さへんいうのも…いやあかん!せっかく作ったんにもったいないし、窪田がうるさいしなぁ……アイツ、目でモノ言うもんな。あーどないしよ!







「?どないしたん?カタ。さっきからなんやおかしいで?俺に勝てんやったのがそんなにショックやったんかい?」




「んなわけあるかいアホ。……畑!」




「おう、なんや?」





「あー、うぅ、何でもあらへん…」





面と向かって渡すの、意外と恥ずいなぁ…郵便受けは…だめや。今日じゃないと意味がない。



畑ん家で、いやでも今日は昨日の片付けもあるから家帰りたいし…。



そうこうしてる間に畑ん家は目の前。あーもう!





「ほな、またあしt「畑!コレやる!」…なんやコレ。チョコ…?」





「昨日窪田と作った時、余ったからやるわ。ホンマやで!余ったんや!もったいないし、窪田がやれ言うから……なんやその顔!気色悪いわ!にやけた顔なんとかせんか!」





「いや、まさかもらえるとは思わんかったから嬉しくて…ありがとおな!うわぁ、もったいのーて食べられへん、一番嬉しい…!」




う、この笑顔は反則やろ……俺と同じ数はチョコもらえんの、わからんでもないわ。





「……そうかい。じゃ、帰るわ。」




「えー!泊まってかんの!」




「昨日の片付けもあるしな。じゃ。」


恥ずかしくなって背を向ける。さ、帰ろか…





「おぅ……あ、カタ!」





「ん?なんや?まだなんか…」






「お前からもらったのあわせたら、俺の勝ちやな」





勝ち誇った顔。コレがドヤ顔言うんやな…てか、負けた…?俺が、畑に…?





「あああああああ!!!忘れとった!返せ!」




「いやや。もらってもーた。勝った勝った!今日はようやく勝負もついたしカタからチョコももらえるし、最高の日やんな!」




「くっそぅ〜お前になんかチョコ作るんやなかった…」




「ほんまにありがとな!カタ!じゃまた明日!」






戻っていく畑。くっそ!もう二度とチョコなんて作ってやらんからな…!















でも、あの笑顔が見れるなら、あと一回くらいなら作ってやっても、ええかな…?







→あとがき
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