novel
□おまじない!
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「堺ぃ、今日やけに世良落ち込んでんなぁ。またなんか言ったのか?」
練習の休憩時間、丹波が落ち込んでる世良の様子を俺に聞きに来た。
ったく何で本人じゃなくて俺なんだよ!
「あいつ俺が早めに練習に来たら俺のスパイクはいてやがった。人のモンに勝手に触らないように言っただけだ。」
「いやぁあれは言っただけじゃないでしょ。お説教二時間、いや三時間コースかなぁ。」
何でわかるんだこいつ。
「世良も可哀想になぁ……まぁ、おまじない成功したみたいだし、お決まりといえばお決まりかな。」
…?
「ちょっと前に赤崎と世良と俺とガミで飲みに行った時に、元カノの話になったのよ。そん時に、赤碕の元カノがおまじないとかジンクスが大好きな人だったらしくて、色々聞いてたんだよ。そん中に、『好きな人の靴を履いて三歩歩くと両想いになる』っていうのがあって。」
……それは、つまり。
「世良はお前のスパイク履いてたんだろ?それって、そういう意味なんじゃね?」
「だから、お前もちょっとは優しくしてやれって。世良も悪気があってやったんじゃないんだからさ。それに、お前も世良のこと好きだろ?」
!?
「そんなこと言われなくたってお前の目見りゃわかるよ。何年お前と一緒にいると思ってんだ。」
……でも、俺はもう年だし、世良にはまだミライがある。そんな奴を俺が縛っていいわけが…
「お前のことだからどうせ年齢がどうとか思ってんだろうけど、世良はそんなこと考えちゃいねーよ。うだうだ悩むくらいなら。世良のこともうちょっと考えてやれ。」
………練習が終わったら、世良を飲みにでも誘ってやるか。
それから色々話さなきゃな。
→あとがき