恋歌の準備をしよう

□プロローグ
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――――…


曲が終わっても私は、身動きとらなかった。


いやとれなかったと言っていい。


それだけ、この人の曲はすごい。



季節は冬。



私は母に誘われて、今コンサート会場にいる。




別に有名でもない歌手で、名前も知らない人だから行く気はなかったのに、母に強引に連れて来られた。



結果、心の奥まで染みた曲に私は何も出来なかった。








でもなんで――…




恋もしたことない私が、この曲にすごく共感してる…




彼氏できたこともない。
キスもない。
男の子と手つないだのなんか、幼稚園の遠足ぐらい。


そんな私が、共感するなんて…












でもそれは、これから起きることの前兆であった―…


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