恋歌の準備をしよう
□Kiss.37
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跡部にだけは言われたくなかった。
一番信じて、一番頼って、一番わかってくれてたと思ってた人に、言われたくなかったよ…
跡部の拒絶の言葉は、私に大きなダメージを与えた。
だって、家までどうやって帰ってきたかわからない。
気付いたら暗いリビングのソファに座ってた。
気付いても考えることは同じ。
跡部の拒絶の言葉。
信じなきゃよかったって言われたら、私はなんて言えばよかったの?
なにも言えない私は、何を口にしたらよかった?
どうしたらいい?
もう嫌…
「誰か、教えて…」
小さく呟いた言葉は、誰も答えることなく消えた。
そう思った―――
「教えてあげようか?」
「ッッ!!?」
いきなり聴こえた女の人の声に、私は驚き声のしたほうを見た。
その人は、私が座ってるソファの前に置いてあるテーブルを挟むようにそこにいた。
その人は淡い光に包まれ、足を組んで空中にフワフワ浮いていた。
普通なら非現実的なその出来事に驚くが、私自体非現実的なことを体験してるので今更驚かない。
私は、その女の人を警戒しながら声をかけた。
「誰、ですか?」
「あら、失礼。リコと呼んで。」
リコと名乗った人は、ふふと笑い目を細めた。