恋歌の準備をしよう

□Kiss.37
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リコさんは私を見つめると、口を開いた。




「まだ、3分の1ってとこかしら。」

「え…?」

「あなたが見つけた歌よ。」

「歌…」




なんで歌のこと、この人が知ってるの?




「なんで知ってるかって顔ね。それは、私が監視者だからよ。」

「監視者…?」

「監視者は、世界に選ばれた傍観者を監視する役目。だから私は、選ばれた傍観者であるあなたを見てきた。」




リコさんは自分の正体を分かりやすく説明してくれた。



私はこの世界、要するにテニスの王子様という世界が漫画と同じ道を進むか見る。
リコさんは、そんな私が先の話をしないか監視する。



私は見張られていたのね…




「なんで、私だったのかな…」

「ん?」

「私じゃなくても…傍観者になれる人はたくさんいたはずなのに、なんで…」




私の呟きにリコさんは真剣な表情になった。




「傍観者は、あなたがしなくてはいけない。それが、この世界が決めたこと。」

「………」

「あなたは歌を見つけた時、決めなくてはいけない。」

「何をですか…?」

「残るか、帰るか…」

「………」

「歌をすべて見つけた時、選択する。」

「選択…」





私はギュッと自分の手を握った。


今の私なら帰りたいと思う…
でも…




悩んでる私に、リコさんは言った。





「あなたがすべきことは、最後まで見ること。それが、どんなに辛く苦しくとも目を背けてはいけない。」





 
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