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□君史上最大級の愛の唄
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君は知らないでしょ。
俺が本気で君を好きだってこと。
でも、俺は人間全てが好きだ。そう、ラブ。人ラブ。
だから特定の人間を好きになるわけにはいかないの。
なのに、どうして?
俺は誰よりも君が好きみたい。自分だけのものにしたいって、君に触れたいって、どうして思ってしまうのだろう。
「ねぇ、どうしてだと思う?」
「……そんなの私が知るはずないじゃない」
馬鹿、と狩沢はそういって赤らめた顔をそらす。
俺が想っていることを口にしたら、狩沢は顔を赤らめたんだ。そこがまた可愛いんだよね。
「あのさ……それって何?告白?」
「それが分からないから狩沢に聞いてるんだけど」
私の方がもっと分からないわよ、と狩沢は言う。
それもそうか、と俺は納得する。
人間が好きだ。でも、それ以上に狩沢が好きなんだ。
でも、今の俺にはそれだけじゃ足りない。
俺は狩沢に愛されたい。俺が狩沢を愛するように、それを狩沢の愛で応えて欲しいんだ。
こんな俺は気持ち悪いんだろうか。
「いや、好きになるってそういうことだと思うけど。気持ち悪くはないよ」
「そっか。よかった」
「……てかさ、なんで私なの?イザイザ顔は良いんだから、けっこうモテるでしょ。それなのに、なんで私を好きになったの?私、腐女子なんだよ?」
「狩沢が腐女子なのと、狩沢を好きになることはいけないことなの?」
「……それは……ビジュアルの問題?」
「……ふーん。狩沢はそういうこと気にしない子だと思ってたけど、気にしてたんだ?」
「気にしてなんかいないわよ。ただ……びっくりしてるだけ」
突然私を好きって言いだすから。
「……狩沢を好きになっちゃいけないの?」
「いやっそうじゃなくて……ほら、イザイザってどんな人間でも人ラブって言ってたじゃない。仮に、私と……私じゃなくても、特定の女の人と付き合うことになったとしたら、他の人間を好きにならないの?」
俺は少し考え、狩沢を見つめ直した。
「わかった。言い方間違えた」
俺は全ての人間が好きだけど、今は狩沢だけを愛したい。
そういうと、狩沢はさらに顔を赤くさせてしまった。
……可愛い、と思ってしまった俺は、相当重症なのかもしれない。
end