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□そう遠くない未来の話
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「あ」
「……何すか、狩沢さん」
「さっきお菓子買ったんだけど、おまけで子供用の指輪が入ってたの」
じゃじゃーん、と静雄に見せびらかすように、狩沢はお菓子の箱に入っていたのであろう、ハートの形が付いた指輪を静雄に突き出した。
静雄は眉間に皺を寄せては呆れたようなため息をつく。
「……なんで子供用の菓子なんて買ったんすか?」
「いやー初心にかえろうかなと」
「……」
「あ、シズちゃんにあげるよ」
「いらないっす」
「えっ、即答!?」
「それ、女用、子供用……いらないっす。むしろ貰っても困るっす」
「えー私も困る。私もいらないもん」
「……」
じゃあなんで買ったんすか、とため息混じりに尋ねてみれば、お菓子が食べたかったの!と言われてしまう始末。
静雄はもう一度ため息をつく。
「でも、あれだね」
「……何すか」
「今の子供の指輪も洒落てるものね。絵理華びっくり!」
「……狩沢さん」
「はいはい、何でしょう」
「……そんな指輪で満足しないでください」
「……え?」
「いつか、いや……まあ、そのうち、俺が指輪をあげますから」
「……それって、」
結婚指輪?なんて、尋ねてみれば、静雄は耳まで真っ赤にさせながらも頷いてみせた。
そんな静雄の姿に、狩沢は思わず笑ってしまうのだった。
(そう遠くない未来の話)
→あとがき