Kurobasu
□i
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カントクはキスをするとき、一瞬だけ目線を逸らす。
でも、唇に触れる瞬間は目が合う。
カントクがまっすぐ俺を見つめてくるのだ。
ほんの少しの間だけど、俺は何よりもその時間が好き。
カントクと視線が交差する時間。
あと何秒だろう。
あと何分だろう。
「……伊月っ、くん」
唇を離してカントクを見れば、カントクは頬を赤らめていた。
「……可愛い、カントク」
そういってカントクの額にキスを落とせば、カントクは恥ずかしそうに、でも、どこか嬉しそうに笑ってくれたような、そんな気がした。
end