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□世界の終焉を祈る
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「もし、人生が何回もやり直せるものだったとしても、私は絶対アンタを好きになることだけはしないわ」

「ふはっ、急に何を言いだすかと思えば」


花宮は右隣にいるリコに目を向けた。
公園のベンチ。一人分のスペースがある、届きそうで届かない距離。


「絶対、好きにならないわ。私、アンタのこと大嫌いだもの」

「ああ、知ってる」


花宮はリコから視線を逸らす。


「……何回もやり直せるのに、一回も好きにならないのか?」

「ええ」


即答だった。
花宮はそーかよ、と呟き、背もたれに寄りかかる。


「私、アンタが嫌いよ」


――知ってるって言ってんだろ。


「でも」


リコは空を仰ぐ。


「何回も繰り返す人生の中で、もし世界が終わることになったらアンタを好きになってもいいわよ」

「……それ、どんぐらいの確率なわけ?」

「さあね」


花宮は隣にいるリコのように、空を仰いでみせた。
ベンチに置かれていたリコの左手に、花宮の右手が触れる。
手を伸ばして、リコの小さな手のひらをそっと握ったのだ。


「私、アンタなんか大っ嫌い」

「……そーですか」


それでも、リコは花宮の手を振り払うことはなかった。


「あーあ。早く世界が終わってくれねーかな」


そしたら君に、好きだと言えるのに。





end

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