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□ハイビスカスを添える
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「……なあ、今そこの倉庫から変な声聞こえなかったか?」
「はあ?やめろよ、気のせいだろ」
「ええ?でも……」
「おい、お前ら!さっさと体育館戻れ!」
「げ、やべ!!」



「……ははっ、今のはアカンやろー」

バタバタと遠ざかっていく足音を確認してから、リコの口を塞いでいた今吉の手が離れる。リコは顔を真っ赤にさせながら、目だけを動かして彼に視線を向けた。

「……だったら急に、へ、変なことしないでください……!」
「怒った顔も可愛いで?」
「そんなこと聞いてません……!」

目を真っ赤にさせ、涙を浮かべるリコを見るともっと苛めたくなってしまう。試合のときのあの凛々しい表情が崩れる瞬間。それは堪らない快感。まだまだ子供やなあ、なんて思いながらも彼女を泣かせたいと思ってしまうのは事実だった。
抵抗するリコなど気にもせず、スカートの中にある彼女の大事な部分へと手を伸ばす。
指先が下着越しの敏感な部分に触れた。

「あっ……!」
「下着がぐしょぐしょ……なんや、興奮してたん?」
「違っ……ああっ、あ、あ、あっ」

指を上下に揺すれば、リコの口から今まで聞いたことのない艶やかな声が漏れていく。
下着越しでもわかるほどにぷっくりと膨れたしこりを弄れば、リコは今吉にもたれかかるように体を傾けてきた。抵抗などない。足を広げ、快感と刺激を求めている。

「気持ちいいの好きなんか?」
「ああっ、気持ちいっ……」
「従順やね……さっきまでの監督さんはどこに行ったんや?」

今吉の指が下着を潜り抜けて直接彼女の秘部に触れた。柔らかな感触と愛液で溢れているソコに思わず唾を飲み込む。

「こんなに濡らしてほんまエロい体やね。声、我慢してや。誰かに見られた方が興奮するなら話は別やけど」

リコは今吉の胸元に寄りかかったまま、彼を見上げた。潤んだ瞳で見つめられ、今吉は思わず、あかん、と言葉を零してしまう。

「え?」
「……アンタ、誘惑しすぎやろ」

ぼそりと呟かれた彼の言葉はリコには届かず、聞き返そうとしたがそれはできなかった。

「ああっ、あんっ」

今吉の指がリコのしこりに刺激を与える。直接感じる快感に、リコは何度も背中をビクつかせた。

「ここ、ここがええんやろ?」
「あっ、あっ、そこお……!ひゃっ、ああっ」

今吉はリコの腰にもう一度腕を回し、支えるように抱きかかえた。長い髪をどかし、そこから覗かせる白い首筋に舌を這わせる。下から上に舐め上げれば、彼女は一際高い声を上げた。

「首、弱いんやね」

逃げ出そうとする彼女だったが、がっしりと固定されている彼の腕から逃れられる筈もなく。彼女の手首を掴んだまま、今吉はより深く、彼女の首筋に口づけをした。

「く、び、だめっ……!んあっ!」
「そろそろ監督さんのイクとこ見たいんやけど……もっと足開いてくれへん?」

今吉の問いかけに、リコはぶんぶんと首を横に振る。なんでやー?と口を尖らせた今吉はリコの太腿を手の平でなぞった。
リコは声にならない喘ぎ声を上げてしまった。触れてほしいのはそこではない。ヒクヒクと震えるクリトリスが、彼が与えてくれる刺激を求めている。
今吉はにやりと笑った。

「……なら、やることやってくれへんと、こっちも困るで?」

リコはすべて見透かしているだろう今吉を涙目で見つめてから、ずるい人、と口元を動かした。それに気付いたのか気付いていないのか、今吉はまたしても不敵な笑みを作ってみせる。

「今、吉、さんっ……!」

とうとう、リコは足を広げた。大きく広げた瞬間、今吉の指がリコの奥を貫いた。

「っあああ!」
「だからアカンて。声、我慢してーや」

指が抜き差しされるたび、ぐちょぐちょと卑猥な水音が倉庫内を響き渡らせていく。彼の指が奥を突くとリコの中がきゅっと締まる。
愛液でたっぷりに濡れた指を抜き出して、自分の口元へ運んだ。リコに見えるように指を舐めれば、彼女は恥ずかしそうに視線を逸らす。
今吉はその指を彼女が待ち望んでいるであろう敏感な部分に触れさせた。

「ああっ……!」

頭の端から足の指先まで流れてくるような快感に知らずと体が震える。
指の動きを速め、しこりを弄れば、リコの喘ぎ声は止むことを知らない。開いた口から涎を垂らし、目は焦点が合わなくなっているようだ。

「……乱れた監督さん、ほんまエロいわあ」

耳元で囁いて、舌を這わせる。

「ひゃっ、あ、はっ、はあっ、もう、だめ……!」
「まだ大丈夫やろ?」
「む、りい……!イッちゃ、イッちゃう……!

「もうちょい我慢してや」

意地悪をするように指の動きを止めてしまえば、リコは、止めちゃやだあ、となんとも可愛らしい駄々を捏ね始めた。

「も、イキそうなのお……!」
「せやなあ。こんなにヒクヒクしてるもんなあ。監督さんのクリトリス」

本当に達しそうなのだろう。クリトリスに少しでも触れたら彼女はすぐ快感に浸ってしまうであろう勢いだった。
耐える監督さんも可愛えなあ、と思いながら、今吉はリコの顔を覗き込む。

「しゃーないなあ」

面倒くさそうにそう言いながらも、正直今吉も限界だった。この手で、自分の手で、彼女をイカしたい。彼女が達する瞬間をこの目で見たい。気持ちだけが先走っていく。
再び今吉の指がしこりに触れる。リコは歓喜に満ちた声を上げた。

「イクとき、好きって言うてや。な、監督さん」
「あっあっあっ!気持ちいっ……ああっ」
「なあ監督さん」
「言、うっ……!はっ、あっ、」

リコが突然、ぎゅっと目を瞑った。体に力がこもる。
今吉はそれを見逃さず、リコを後ろから抱いたまま、無理やり片足を大きく開かせた。

「ああああっ!」
「この方がええやろ?」
「ああっイクっ、気持ちいいよお……!」

リコの背中が仰け反る。今吉はしこりに指をぐりぐりと押しつけた。

「イッちゃ……う!ああっ!」
「なあ、好きって言うて」
「す、き……!今吉さん好き……!」

今吉に囁かれた言葉を何度も繰り返して、リコは一度、大きく体を揺らし、喘ぎ声を漏らしながら達した。
ぐったりとした様子で今吉の元へ倒れ込むリコ。耳を寄せれば、彼女の息遣いが聞こえてくる。
火照った体。乱れた制服。彼女の甘い声。
今吉はリコの髪を撫でた。

「……あ」
「そんなに気持ち良かったんか?監督さん」

うっすらと開かれた瞼から見える、彼女の大きな瞳を覗き込むと、先ほどまでの記憶が徐々に戻ってきたのか、リコの表情が強張っていくのがわかった。
それすらも楽しそうに眺めながら、リコの頬を撫でる。優しげな笑みを浮かべながら、彼は言った。

「なあ、今度は誠凛の制服でやらへん?長い髪の監督さんも好きやけど、ショートの監督さんも好きやし。何よりセーラー服でエッチするっていうのが堪らん……」
「――最低!」

パシン、と乾いた音が響いた。じわじわと広がってくる頬の痛み。
リコは自分を抱く今吉の体を突き飛ばし、乱れた制服を整わせながら立ち上がる。
リコに叩かれた頬を押さえながら、今吉は困ったようにため息をついた。

「なんやねん。自分もノリノリやったやん」
「なっ……!違っ……!」
「イキたいイキたい連呼してたくせになあ」
「ばっ……!」

リコは何か言い返そうとするも、思い出してくるのは彼の言うとおり、自分の恥ずかしい発言やら行動だ。たぶん、何を言っても彼には通用しないだろう。
しかし、何も言い返せないでいるのもなんだか嫌なものだ。リコは目をキッと吊り上げ、顔を真っ赤にして叫ぶ。

「今吉さんの変態っ!!」

一言だけ叫んで、リコは倉庫を飛び出していった。

「おーい、眼鏡忘れてるでー?」

呼びかけても彼女が振り返ることも立ち止まることもなかった。
一人残された今吉はやれやれと肩を竦める。が、その肩はすぐに落胆してしまう。

「……アホやろ」

彼女に欲情したのは確かだった。倉庫に連れ込んで襲おうと決めたのも確かである。
予想外だったのは、リコにペースを乱されたことだろう。リコの声、リコの反応、リコの感触。それらがすべて、今吉の心を戸惑わせた。

「どーすんや、これ」

処理するタイミングを逃してしまった、大きく膨らんだ自身。なんて滑稽な姿や、と苦笑混じりのため息をつく。
胡坐をかいて、口元を押さえた。

――自分、余裕なさすぎやろ。

目を閉じれば、顔を真っ赤にさせて飛び出していくリコの姿が思い浮かんだ。
自然と口元が緩くなるのがわかった。

「……次はセーラー服やなあ」

ただのコップに入ったジュースよりも、コップに花を飾ったジュースの方が美味しそうに見えるのと同じ原理だ。今日は桐皇の制服で美味しく頂いたのだから、次は誠凛のセーラー服で美味しく頂きたい。
まあ、そんなことをしなくても彼女は十分美味しそうに見えるけれど。



「……ただの口実やねん」


君に触れるための、そんな口実。
なんやただのおっさんやん、と自分自身に突っ込んで、今吉はらしくもなく困ったような笑みを浮かべてみせた。



「……次は絶対キスしたる」






ハイビスカスを添える






(まずは嫌われてなければええけど)





end
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