泡沫の物語

□声音と白い服と
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「あの、すみません・・・」


救護団の活動の途中で立ち寄った街でそんな声を聞いた。

(この声・・・アスベル?)

その声は自分がとてもよく知っているもので、シェリアは思わずそちらに目を向ける。


白い服が視界に映った。


(やっぱり、アスベルだわ!)

シェリアは笑みを浮かべながら小走りでその人の元へ行く。



「アスベル―――じゃない・・・?」

しかし、近くに寄ってみるとその人は自分が思い描いていた人ではなかった。


でも、目の前の人は彼によく似ていた。

白を基調とした服。

髪色と髪型は多少違えど、ゆるやかなくせっ毛。

そして何よりも、あの声―――


「・・・?」

まじまじと自分を見つめるシェリアを、彼はきょとんと不思議そうに見ている。

「・・・あ、すみません。その、知り合いによく似てたもので・・・」

「ああ――。いいですよ、別に。じゃあ僕はこれで。」

人の良さそうな笑みを浮かべながらそう言う彼の声は、本当にアスベルのそれとよく似ていた。



彼は軽やかに踵を返すとシェリアから離れていく。

彼が向かう先に、黒い服を纏った人影がみえた。
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