泡沫の物語
□音なき声音は交わされて
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『スザク･･･じゃない･･･？』
アスベルはふと、先程の漆黒の少年の言葉を思い出す。
（あんな風に間違えられるなんて･･･そんなに俺と“スザク”という人は似ているのか？）
アスベルは心の中で首を傾げた。
（･･･できれば、会ってみたいな）
視界の端を白が横切った。
その人は白い服をなびかせて――
黄褐色のくせっ毛が歩くリズムに合わせて揺れていて――
初夏の木々を思わせる緑の瞳と、一瞬だけ目があった。
二つの白が、静かに交差した。
（さっきの人、俺に似てたかも･･･。もしかしてあの人が“スザク”なのか？）
アスベルは先程の人を思い浮かべて、そうだったらいいのにと小さく笑う。
振り返ってもう一度姿を見ようとも考えたけど、やめた。
前を向くと、何故か目を丸くしているシェリアの姿が見えた。