夢ならざる物語
□あさり貝と神の使徒 episode.1
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「いたっ!!」
急いで家を飛び出したツナは玄関先でいきなり転倒。
「たた・・・なんだよ一体・・・」
先程足元に感じた違和感を確かめようとツナは立ち上がりながら地面を見渡した。
「ん・・・?何だこれ・・・。・・・箱?」
ふと、目についたペシャンコにつぶれてしまった小さな箱。
先程の転倒もこれを踏みつけてしまったせいだろう。
箱をあけてみると、中から小さな何かがツナの手の上に転がり出てきた。
「・・・リング?」
白銀に煌めくシンプルなデザインのリングをツナは不思議そうに眺める。
リングといえばツナたちにとって特別な存在だ。
でも、このリングはツナが今まで関わってきたもののような豪華な造りではない。
本当に、どこにでも置いていそうないたって普通のリングだ。
「・・・。」
でも何故だろうか。
このリングから感じる違和感を拭いきれないのは。
血統故の特別な力―――“超直感”が何かをうったえる。
「・・・とにかく、このままにはしとけないよな・・・!」
そう言ってツナはリングを制服のポケットにつっこむ。
「・・・やばい!!時間がないんだったー!!」
すっかり時間のことを忘れていたツナは急いで学校へと向かう。
そのポケットの中では白銀のリングがツナの走るリズムに合わせて小さく揺れていた。