夢ならざる物語
□ボンゴレ的同窓会と愉快な種運命 prologue
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上品に整えられた室内にペンの走る音が響く。
そこに、軽やかなノックの音が数回、ならされる。
部屋の奥で机に向かっていた青年はペンを動かす手を止めて顔を上げた。
「どうぞ。」
青年の声に応じてドアを静かに開きながら若い男性が部屋に入ってきた。
「十代目、日本からお手紙です。何でも並中の同窓会が開かれるとか。」
若い男性は手にしていた白い封筒を青年に見せるように持ち上げた。
「本当?じゃあ早速日本に帰る準備をしないとな。で、それはいつ?」
「いえ、それが同窓会は日本ではなくイタリアで開くそうなので、その必要はないかと。」
「イタリアで?」
青年は軽く眉をひそめた。
「でも、そんな資金どこから出すの?」
「・・・・・・」
何故か気まずそうに若い男性は口をつぐむ。
「・・・なに?何か言いにくいことでもあるの?」
「い、いえ、そういう訳では・・・」
「ふーん。ま、いいよ、大体わかるし。・・・・・・水狩でしょ?」
青年の言葉に若い男性の身体が明らかに強張った。
「はは、やっぱりね。あいつ確か幹事やってたし、こんな下らない見栄張るのなんて、あのお坊ちゃんくらいだよ。」
「・・・それでも、十代目は出席なさるんですか。」
若い男性が気まずげに尋ねると、青年は晴れやかな笑みを浮かべながら言った。
「もちろんだよ。ちょうどこの機会にあいつの高い鼻を折っとかないと気がすまないし。」
彼はおもむろに椅子から立ち上がると後ろを振り返って窓の外の空を見上げた。
「さて、久々におもしろいことが起こりそうだ。」