〜「情愛華」〜

□「〜華 開く時〜」
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殺生丸が向かった先は この湖の山奥にある屋敷

結界が張られ 自然界を守っている・・・

一見 見た感じは 普通の御屋敷ではあるが

何だろう・・・この雰囲気・・・

松明が焚かれ 漂わぬ薄気味悪さがする・・・

不安げに 更に奥に入り進むと

清らかな 清浄な風と心和む 香の香り・・・

「・・・ねぇ・・・殺生丸・・・ここは?・・・」

「・・・知りたいか?・・・」

ニャリとする殺生丸は敢えて応えなかった

しかし 不安げな伽羅の様子を見て

「・・・心配するな・・・安心しろ・・・」と

腰に手を回し 優しく伽羅を引き寄せた

門がゆっくり開き 屋敷の奥に入って行く・・・

ぼんやりと灯りが灯る中 番人が現れ 離れの部屋に通された

「・・・殺生丸さま 蜃気楼の間を・・・支度は整っております・・・ごゆっくりおやすみ下さい・・・」

挨拶を済ませた後 その番人は 消え失せてしまった

殺生丸が襖を開け 後ろから覗き込む伽羅・・・

膳が二膳 上座に用意され 食事の支度がされていた

雪見障子をそっと開けると 夜空に舞う星と月灯り・・・

清々しい風が流れ 伽羅の大好きな 芍薬や牡丹の華が 咲き誇っていた

そして心落ち着く香の香りが 淡く漂う・・・

伽羅は どこへ連れられて来たのか分からず 戸惑いを隠せなかった

殺生丸は伽羅をそっと優しく引き寄せ 抱きしめながら

部屋の奥にある襖をゆっくりと開けた

伽羅の目に飛び込んできた光景は

金箔で覆われた 天井や襖・・・

所々には 松や鷹 龍などの絵が彫がかれており

高座の畳張りには 赤い芍薬の華の刺繍が施してあり 真っ白な絹のフカフカ布団が一組 

そして 枕が二組・・・

また 枕元には 六脚一艘の桜屏風と 両脇に行灯が置かれていた

明らかに 寝床である・・・

伽羅はもう子供ではない・・・

何を意味しているのか 想像がついた

殺生丸は伽羅に告げた

「・・・この部屋は・・・お前と・・・今宵 床を共にする・・・覚悟はよいな・・・」

確りと腰に手を回され 引き寄せられている伽羅は

あまりにも露骨すぎる 殺生丸の言葉に 赤面するや 顔から火がでる程 恥ずかしかった

膳の前に仲良く座り 殺生丸は 食前酒を一気に飲み干し 伽羅も少し飲みながら

用意された食事に箸をつけ 甘いひと時を過ごした
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