〜愛讃歌〜「殺生丸と伽羅」

□嫉妬心と発情期
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龍神王は ニヤニヤしながら 殺生丸の顔を 覗き込んだ

「‥伽羅が初めてだろう?‥」

「‥何が言いたい‥」

殺生丸は ジロッと睨んだ

龍神王は 使いの者を呼び 茶と団子を用意させ 大理石に 腰を掛けた

「‥なぁ殺生丸‥お前 いくつになった?‥」

「‥19だ‥」

「‥そうか‥19か‥」

「‥‥‥‥」

「‥殺生丸 お前は 妖の犬だ‥自然界の生き物たち全てとは言わぬが‥ある年になる頃から 繁殖期を迎える‥雄は雌を求め 闘いを繰り返す‥雌は最後の闘いに勝った雄と情交する‥その為 雄は手段を選ばず 生死をかけ 雌の回りにいる雄を敵と見なし 闘いを繰り返す‥言わば 子孫繁栄‥我が子孫を残すためだ‥」

殺生丸は 伽羅の舞踊を眺めながら

「‥その渦中に 私がいるとでも‥」

「‥その通りだ‥殺生丸‥」

「‥抑えられぬのか‥」

「‥まぁ‥無理だろうな‥悲しいが 雄の本能‥性だな‥時が過ぎるのを 待つしかないだろう‥」

龍神王は 茶を飲み 団子を食べた

「‥伽羅は人の娘‥私達とは違う‥大切にしてくれ‥」

龍神王は 席を立ち数歩歩き 言い忘れた事があった

「‥殺生丸 他の女と交わるな‥伽羅は 情の深
い女だ‥バレたら後が怖いぞ‥」

「‥フッン‥何をくだらん事を‥」

その夜 殺生丸は 隠せもせず 伽羅に 全てを語った

「‥妖の犬でも そのような事があるのね‥」ウフッと笑った

「‥伽羅‥もし私が 他の女と交わったらどうする?‥」

「‥私は 殺生丸を信じてる‥でも‥もしも‥そのような事があれば 私は 殺生丸を‥‥‥‥斬り殺す‥」

伽羅は 殺生丸の刀に手をかけ 言い放った

「‥私を斬り殺す‥か‥」

殺生丸は 妬いている伽羅の気持ちが 可愛く ニタッとしてしまった

口付けを交わしながら 殺生丸は

「‥明日 早朝より 西国へ行く‥伽羅‥お前との祝言の日取りだ‥色々準備もある‥」

優しく 伽羅を抱きしめ 口付けを交わし 愛され抱かれゆく姿が 影絵のように 障子に映った

この後 西国で 二人を 落とし入れる罠が 待ち受けているとは‥
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