Novel

□宵闇の報復
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※暗いです グロいです
病んでます 眼鏡受注意


突然襲った衝撃は、痛みというより熱だった。
初めて受けるものに、力なく地面へと倒れる。
何が起きたのかわからなかった。
ただ、混乱する思考の中、認識したのは荒い呼吸をした男。
ひどく興奮している様子だった。
続いて、自分の腹部から紅い液体が流れ出していて、それが血であるということに気付く。
血が吹き出るそこから、激しい痛みを感じ始めてようやく、自分が何者かに刺されたことを自覚した。
普通に生きてきた人間ならば、自分が刺されることに酷い疑問を抱いただろう。
しかし彼、佐伯克哉には残念なことに心当たりがあった。

「……み、どう…」

「はぁ…は……ククッ。私の顔を見ずとも誰であるかわかるとは…ひょっとして、こうなることがわかっていたのか?」

「…さぁな」

「…佐伯、随分苦しそうだな。だが私はそれ以上に辛かった」

「……………」

何も言えなかった。
今まで散々辱しめ、犯してきた御堂から、これだけの報復を受けてもいい返す言葉が見当たらないのだ。
もっとも、克哉に言い返す体力が残っているはずもなかったが。

その後も幾度となく刺された。
腕や肩、腿など。
指先を刺された時など痛みで失神するかと思った。
いっそ死んでしまったら楽になれるのに、御堂は一向に確実に命を奪えるところを刺さない。

「ぐぁっ…うっ…」

「くっ…ははっあははは!惨めだな、佐伯克哉」

御堂は狂ったように笑っている。
若しくは初めから狂っていたのかもしれない。

「…お…まえ、は…」

「ん?」

「これ、で…ま…んぞく……なのか?」

「満足…?」

御堂の乾いた笑いが止まった。
御堂は困惑していた。
彼に痛みを与えて、苦しませて、命を奪って。
…私は、満たされているだろうか。

「…ない」

「…?」

「満たされないな。まだ…まだ、君から受けた屈辱を晴らせていない…!」

「…ふっ、ざん…ね、んだっ、た…なぁ。俺は、も、ぅ…」

もうこれ以上言葉を紡ぐ体力は残っていない。
意識を永遠に手放そうとしたとき、

「お困りなようですね。まだ恨みを十分に果たしていらっしゃらないご様子。もしよろしければ、私の力を御貸ししましょうか?」

暗闇になびく金の髪が見えた。
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