パラレル飛躯二次創作

□お見合い結婚
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 俺は男を見る目がない。恋愛ベタだと言う奴もいるが、どうも男の趣味が悪いのではないかと自分では思っている。ああ、ちなみに男言葉だが俺はれっきとした女だ。髪が短いのと気が強いのとで男に間違われることも昔からしばしばだが。まぁ多少風変わりな性格をしているのは否めない。男勝りというのかボーイッシュというのか、はたまた変人というのかは知らないし知りたくもない。とにかく男にはモテるのに、付き合いが長続きしない。あらゆるタイプの男と付き合ってきたが、例外なく3ヶ月以内には振られる。大抵男達は俺にひと目惚れをする。ありがたいことに俺は美人の範疇に入る方だ。最初は奴等はのぼせ上がって俺に夢中だ。しかし付き合い始めて数週間後にはよそよそしくなる。次第に俺を避けるようになる。そしてジ・エンド。理由は俺にはさっぱりわからない。
 俺も27になった。既にこれまで付き合ってきた男の数は両手じゃ足りなくなっていたが、かといって俺は男好きの遊び人ではない。どちらかと言うと、いやどちらかと言わなくても、男なんかより自分のほうがよっぽど大事だ。だって所詮他人じゃないか。俺は男に入れ込むような恋愛体質ではない。男の切れ目がない女というのも世間にはいるが、俺はそうではない。なにしろスパンが短すぎるのでそんなことをしていたらエライことになってしまう。俺に寄って来る男は腐るほどいるから、その中から俺とやっていけそうな奴を時間をかけて慎重に選ぶ。しかしそこまでしても必ず失敗する。つくづく自分の男を見る目のなさには呆れるばかりだ。
 もう俺はうんざりだった。このいつ終わるともしれない陳腐な恋愛ゲーム。告白されて付き合って振られて、同じ繰り返し。俺はそう失恋に苦しむことはない。代わりの男なんていくらでもいる。だが認めたくはないがやはり多少なりともダメージを食らう。自分を否定された気にならなくもない。もういい加減こんなくだらないお遊びは終わらせたい。
 仕事にも辟易していた。普通に会社に勤め事務仕事をしているが、いやもう、つまんないのなんの。仕事自体がつまらないのはもちろん、会社の同僚達も総じてつまらない奴ばかりだ。朝早く起きて満員電車に揺られ出社して夕方仕事を終えまた満員電車で帰宅、そんな味気ない生活サイクルにも飽きた。
 以上の理由から俺は見合いをすることを決意した。俺の恋愛ダメっぷりを見かねた母に薦められた。最初はそんなのダサくて嫌だと思ったが、じきに思い直した。どうせ恋愛なんてもうしたいと思わない。俺はすっかり疲れ果てていた。だったら条件が良くて俺の尻に敷かれてくれそうなおとなしい男でも人に選んでもらうのは賢い方法かもしれない。俺には男を見る目がないから、自分では上手に選べそうもない。なんといっても永久就職だ。自分であくせく我慢して働くよりよっぽどいい。俺はぐーたら主婦を自分の進路に決めた。
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