美男子探偵蔵馬シリーズ(ミステリ)

□クソ豚殺人事件 前編 <美男子探偵蔵馬3>
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「今日はカレーだ。」
 目を輝かせてわくわくと待ち構えていた美男子探偵蔵馬の前に、飛影は熱いカレーののった大皿をドンと置いた。
「やったぁ。俺、カレー大好きなんですよ。子供ですかねぇ。いただきます!」
 ウキウキと蔵馬はカレーをスプーンにすくって口に運んだ。口に入れた瞬間、蔵馬は顔をほころばせた。
「何ですかこれ、すっごく美味しいですねぇ!俺、こんな美味いカレー食べたことないですよ。」
「当たり前だ。俺のカレーは俺独自のブレンドのスパイスを使い朝から煮込んで云々・・・」
 延々と続く飛影のウンチクにとりあえず聞くフリだけして、蔵馬は飛影の特製カレーに夢中で取りかかった。
「ああ、俺は幸せだなぁ。こんな料理上手な素敵なパートナーがいて。お願いですからずっとここにいてくださいね。」
「気持ち悪いからパートナーとか言うな。俺はただの料理人で助手だ。人聞きの悪い。」
「だって俺、あなたなしの人生なんてもう考えられませんよ。」
「だから気持ち悪いと言ってるだろ。そんな馬鹿言ってないで早く料理上手な嫁でももらったらどうだ。」
「あなたより料理上手な女性なんていませんよ。それに俺に釣り合うような女性はそうそういませんから。」
「・・・ナルシストめ。」
「あなたこそ変な女に引っ掛からないで下さいね。俺、泣きますよ?」
「勝手に泣いてろ。それから俺は女になど興味ない。」

 郊外の田舎だが贅沢な屋敷の別邸の地下室で、椅子にがんじがらめに縛り付けられた男がでっぷり肥え太った体に冷や汗をにじませ、顔を歪めて泣き叫び命乞いをしていた。
「お願いだ、助けてくれ!何でもする、せめて命だけは・・・。」
 しかし相手は彼の言葉に全く耳を貸さず、彼の口を無理矢理開かせると大きな猟銃を乱暴に突っ込んだ。にやりと笑い、顔色ひとつ変えず冷静に、ゆっくりと引き金を引いた・・・。
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