「小春ぅ〜…好きや」

「…それはあたしに言うことやないでしょ?」

「…小春も好きやで?」



溜息を吐かれた。



「ユウくん。いつ言うの?誰かに取られちゃってもいいの?」

「いやや」

「だったらさっさと言っちゃいなさい。さっきあたしに言うたみたいに言えばええやないの」

「無理や」

「ユウくん。好きなんでしょ?」

「好きや」

「だったら」

「………」



俯くユウジにまた溜息を吐く小春。



「分かっとる。分かっとるけど…どうしても言えへんねん」

「…ユウくん。断られる可能性なんて考えたらあかん!それは、断られた後に考えればいいんよ」

「そないなこと言うたかて…」

「ああっもう!じれったいわね!!自分から行くか呼び出すか選びなさい!
あたしが連れてってあげるから!」

「な!なんでそうなるん?!まだ言うなんて決めてへんやん!」

「じゃあ言わへんの?そやったらあたしもユウくんの話聞かへんけど、いいんやね?」

「そんな…小春ぅ〜…」



今にも泣きだしそうな情けない顔のユウジに
どっちかを選ぶように迫る小春。

そんな2人がいるのは部室。
他の部員達は毎日のように繰り返されるこの会話にうんざりしつつ
応援する者もいるが、「さっさと言って楽になれ!」と思っていた。



「やっぱり告白言うたら呼びだしで雰囲気作って、よね!何処にするユウくん?
あたしが呼んで来てあげるから」

「や、やめてくれ小春!俺そんなん無理や!!」

「もうっ!男でしょ!覚悟決めなさい!!」



男らしい小春の逞しい腕に掴まれ、引き摺られるように部室を出て行く
ユウジを見送る部員達。

皆の心は一つ。『砕けてこい!』



「逃げたらあかんよ?」

と小春に言われ、逃げ出したい気持ちと必死に闘っているユウジは空き教室にいた。

静かで夕日が差し込む教室は、告白する場所としていい所だとは思う。

気持ちを落ち着かせようと深呼吸をする。

少しは落ち着いたか?と思った矢先、2人分の足音と小春の声と想い人の声。

深呼吸の効果はなく、一気に緊張戻り心臓が煩い。

あまりの苦しさに胸に手をおいた。



「じゃ、あたしはここで」

「え?小春ちゃん…?」

「大丈夫。教室入って待ってて、ね?」



小春が離れていく足音。

待ってくれ小春!俺、やっぱり無理や…。


ガララ。ドアが開かれ想い人の姿。



「あ、一氏君。なんや小春ちゃんにここで待ってて言われたんやけど…何かあんの?」



ドアを閉め、無防備に俺に近づく彼女。



もう、言うしかあらへん。
当たって砕けろや!



今にも砕け散りそうな煩い心臓の音をBGMに口を開く

彼女の目を真直ぐ見つめた。











「 俺、お前が好きや 」















2011/05/15








背景に一目惚れ。
皆仲良しで、一氏君は小春ちゃんに相談しててウンザリされてるといいな。


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