小説

□like or love?
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それは余りにも突然だった。












「私、日番谷君が好き」












「………は?」




たっぷりと間を置いて出た第一声は俺らしくない呆けた声。

お茶を飲む前で良かった。恐らく思いっきり吹き出していたであろう。



何も言えずただ雛森を見るだけの俺に雛森も首を傾げた。


「どうしたの?」


いや、どーしたもこーも。


お前の唐突過ぎる言葉に頭がフリーズしたんだよ。




とりあえず落ち着く為に目の前のお茶を一気に飲み干し雛森を見つめ…いや、睨み付けた。


「いきなりなんだよ」


不機嫌そうな俺の顔を見ても平然と笑顔で返す雛森は


「ううん、ただ言いたかったの。大好きだなぁって」


えへへ、と軽く頬を赤めて照れたように笑っていた。
おいおい、どこのバカカップルだよ。
てかこれ、端から見たら告白シーンなんじゃねぇ?











なのに、このほのぼのとした空気は何だろう。



それはきっと雛森のいう「好き」が恋愛とは違うものだと、気づいているからだ。




「ねね!日番谷君は??私の事好き?」



俺の机の前に来てズイッと首を傾げてくる雛森は瞳を輝かせてじっと見つめてくる。
女というより、まるで小さなガキだ。


俺ははぁ、と一つため息をついて




「好きだよ」



と小さく呟いた。
言葉は同じでも、全く違う意味を込めて伝えた「好き」だけど。





間近にいた雛森にはもちろんこの声は届いて

「ありがとう!」
とこちらを見ながら笑顔で頷く。



はずだと思ってた。







のに、今日の雛森は顔をうつむかせ伏せてしまっている。





どんな表情をしているかは分からないが、鼻をすする音にポタポタと机に液体の滲みが出来ている。



それだけでこいつが泣いているのは明らかだった。



「おい!どうしたんだ?!」


泣き虫なこいつだけど、理由もなく泣き出すような奴じゃない。



まさか、俺の好きだというのがよっぽど嫌だったのか?



「くっ…ひ、ひつが…く…んは…わ、わる…くない…の…ふぇ」


悪くないならなんで今泣く?


「…なんかあんなら言え!!」


幼なじみだからといって全部が分かる訳じゃない。

むしろ分かんねー事だらけだ。
いつものお前らしくねーから、何にもわかんねぇよ。


「……もう、言いたい事は伝えたよ!!」



さっきよりはっきり告げた雛森はそのまま執務室を出ていった。












何を…つたえたんだ?
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