赤果実

□ハジマリ
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「ここは…」

俺はぅ…っと呻いた。
動いた瞬間、頭に軽い痛みが走ったからだ。
手で抑えると少し赤い液体がついた。
「気がついた?」
俺より高い声がした。
声からして女。

声の方向を見てみると黒い長い少しウェーブかかった髪を持つ女がいた。

「お前誰だ、」

俺は女を少し睨んだ。
「私?黒崎 閃【クロサキ セン】」

黒崎と名乗った女は部屋をぐるりと見渡した。

俺も釣られて部屋を見渡した。
ぼろい洋室…
しかしたくさんの日本人形がおかれていた。
何故か人形がこちらを不気味に見ている気がした。

「貴方は?」
黒崎は黒色の目を俺に向けた。
「北沢 夏【キタザワ ナツ】。」
「そう、」
自分で聞いたくせに無関心だった。
「ここはどこだ」
「さぁ?知らないわ。念の為教えてあげるわ。この部屋から出れないみたいよ。窓も鉄格子。ぼろい部屋には適さない新しい物よ。ドアも同様。カギがかかってて出れないわ。無理矢理開けようとしてもだめだった。」
淡々と部屋の様子を述べていく黒崎。
「俺がドア蹴破ったら…」

「無理よ。貴方体から見て運動しているわけじゃなさそうだし。私でびくともしないのだから貴方に開けられるわけないわ」

試して見ないと分からないじゃないか…と少し自分に落胆しながら呟いた。
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