師走の夢。

□12月11日
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「ん…」


目が覚めたら、ふわふわしたお布団の上だった。


…そういえば、昨日本家についた後、お風呂を借りてすぐに寝ちゃったんだっけ。


起きようと思ったが、見世物小屋では床の上で寝ていたため、久しぶりのふわふわ感が気持ち良くて毛布に頬を寄せる。


気持ち良ぃ…


布団の上で溶けているような錯覚を堪能していると、静かに襖が開く音がした。


目を開いて襖に目をやると、部屋に入ってきた雪羅さんがこちらに気付いてにこりと微笑む。


「姫、ゆっくり眠れた?」


「はい!」


もぞもぞと起き上がろうとすると、雪羅さんに止められた。


「お腹すいたでしょ?ご飯持ってくるから、もう少しゆっくりしてなさい」


「ありがとうございます…」


優しい微笑みを見せてくれる雪羅さんに甘えて、再び布団に頬を寄せる。


少しだけふわふわを堪能した後、身体を起こして手櫛で髪をといていると、雪羅さんがお膳を持ってきてくれた。


「お待たせ、姫」


美味しそうな匂いのするお膳を目の前に置かれると、ぐぅ…とお腹が鳴る。


「沢山あるから、沢山食べなさい」


お腹鳴っちゃった…と顔を赤らめていると、雪羅さんがお箸を持たせてくれる。


「ありがとうございます…いただきます」


そう言ってお茶碗を取り、お米を一口口に運ぶと、美味しくて箸が止まらなくなってしまった。


「あ、」


黙々と食べている私を見ていた雪羅さんが何かを思い出したように声を上げたので、不思議に思い顔を上げる。


「少ししたらぬらりひょんが来るって言ってたけど、話せそうかしら?」


「………はい、」


もぐもぐと口にしていたものを咀嚼してから頷くと、にっこりと微笑んで頭を撫でてくれた。



「ごちそうさまでした。」


「はい、お粗末様でした」


雪羅さんと談笑しながらご飯を食べ終えて、手を合わせる。


お膳を台所に運ぼうと立ち上がったら、雪羅さんに止められた。


「これぐらい、やらせてください…」


「いいからいいから。ついでにぬらりひょん呼んでくるから、待ってなさい」


「あっ…」


お膳を奪い取られて、さっさと部屋を出て行ってしまう雪羅さんの背中を見送る。


…こんなに良くしてもらっちゃって良いのかな…


なんて考えながら、とりあえず崩れた着物を直してから布団を畳んで、
総大将様たちを待つ。


「よォ姫ちゃん、良く眠れたかのぅ?」


「総大将様、昨日は助けて頂いてありがとうございます」


頭を下げてお礼を言うと、総大将様の笑い声が降ってきた。


「そんなことは気にすんな!それより…何があったか、聞かせてくれるかのぅ?」


「はい…」


総大将様と雪羅さんが、私と向かい合うように座って話しを促す。


私は、拉致されたところから覚えていることを洗いざらい話し始めた。





→おまけ&つぶやき。
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