長月の夢。
□9月6日
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「狒々様、いつの間にか秋って感じですねぇ…」
姫と茶でも啜ろうかと、一緒に茶を入れて縁側に来ると、まだ少し日差しは強いがすっかり秋らしい風が吹いていた。
「おぉ、そうじゃのぅ…」
縁側にどかりと座り、姫を膝の上に乗せる。
「気持ち良いですねぇ…」
姫が、言葉の通り気持ち良さげに目を細める。
「そうじゃのぅ…気持ち良いのぅ…」
あまりに姫が気持ち良さげで、儂も面を外してみる。
すると、姫は嬉しそうに儂の頬にすり寄ってきた。
「狒々様の素顔、大好きです。」
「そぉなんかァ?」
「はい。とても綺麗ですし…」
それは儂的には、言われても嬉しくない言葉だ、と少し眉間に皺を寄せる。
「それに、こうやって素顔の狒々様とイチャイチャ出来るのは私だけですからね!」
姫がニコニコと嬉しそうに儂の頬に頬擦りする。
今まであまり独占欲を表に出していなかった姫の予想外の言葉に、儂は少し嬉しくなった。
「姫、儂のこと好きかァ?」
姫の頬を両手で包み込み、目を合わせる。
「え?は、はい…お慕い申しておりますよ?」
突然の儂の問いに、少し戸惑ったように答える姫。
「そんな堅苦しい言い方じゃなくて、狒々様大好きって言って欲しいのぅ…」
ニヤリとしながら言うと、姫は顔を真っ赤にして固まってしまった。
「姫ー?」
やはりニヤニヤしながら、姫を覗き込む。
「あっ!えっと…あの、狒々様、大好き…です…」
真っ赤な顔で言う姫に胸がきゅんきゅんした。
な、何じゃ、この可愛らしい女は…
儂をきゅん死にさせる気か!?←
「キャハハ、儂は、姫の愛の10倍は姫のこと好きじゃがのぅ!」
内心ドキドキしているのを隠すように、ふざけて言う。
「ふふ、私は狒々様の100倍は狒々様のこと好きですよ!」
逆に、姫は儂に抱きつきながら言った。
「じゃあ、姫は儂が大好きじゃから、儂とだったらあんなことやこんなことも出来るなァ?」
儂に抱きつく姫の腰を厭らしく撫でながら言う。
「え、ちょっと、狒々様…!まだ昼間ですよ?」
「んなこと、今更じゃろぉ?」
姫を抱き上げて部屋に運ぶと、姫は諦めたように儂に抱きついてきた。
「狒々様…一回だけですよ…?」
「何?儂ァ一度では満足出来んのを、姫も知っておるじゃろ?」
「…夜まで我慢してくださいっ!」
→おまけ&つぶやき。