師走の夢。
□12月9日
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面倒な総会がやっと終わり、広間から廊下に出たところで、牛鬼に呼び止められた。
「狒々、いつも総会の日はお邪魔しているが、まだ落ち着かないだろうし今回は遠慮させてもらおうと思うのだが…」
「あァ?んなこと気にすんなァ…姫は餓鬼共のことが好きじゃったからのぅ…」
「…そうか?邪魔にならないならば、是非お邪魔したいが…」
儂に気を使っているらしい牛鬼を笑い飛ばす。
「キャハハ!そうじゃ、うちの屋敷の近くに見世物小屋が来とるらしいんじゃ…明日にでも餓鬼共と行ってこれば良かろ…
「見世物小屋じゃと!?儂も行く!」
そう言いかけたところで、どこからか総大将が割り込んできた。
「なァ狒々、儂も泊めてくれ。良いじゃろ?」
「…勝手にしろぉ」
餓鬼みてぇにはしゃぐ総大将に呆れながら、呟くように言う。
「よし!そうと決まれば支度じゃ支度じゃ!お主らは茶でも飲んで待ってろぉ」
そう言って走り去って行った総大将を見ながら、牛鬼と顔を見合わせて溜め息を吐いた。
「とりあえず、雪羅に茶でも入れてもらうかァ…」
「うむ、そうだな…」
2人で本家の廊下を歩き始める。
途中で牛鬼のとこの餓鬼共も見つけて合流した。
餓鬼共が儂を見た瞬間に一瞬嬉しそうな顔をした後、表情が曇る。
餓鬼共も姫が大好きだったから、いつものように儂と共に姫がいるような錯覚に陥ったんだろう。
姫もこいつらと遊ぶの大好きだったよなァ…と思いながら馬頭丸の頭に手を置くと、それはそれは嫌そうに振り払われた。
→おまけ&つぶやき。