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□ビターチョコレート
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触れ合う。
ただ本能のままに―――――






言の体温は、好きだ‥。


無邪気に甘えてきたかと思えば、知らない間に身体を押し倒されて主導権を握られる。
「兄さん」
「こ、とぃ‥」
「ん?」
少しの抵抗を見せてみるが、そんな抵抗も出来の良い弟の前では軽く交わされてしまう。

涼しそうな顔をして言は小さな抵抗を見せる后の手を優しく退け、惑う唇を塞いだ。

確かめる様に絡めて交じり合う。
二つが一つになるように‥

裏と表。
表裏一体。
闇皇と天后。


あぁ、なんとなく理解した。


「言は‥淋しがり屋だな‥」
放れたくないからくっつく。
頭を撫でてやったら大人びた顔から子供っぽい笑顔に変わった。
「うん‥僕は兄さんが傍に居てくれないと駄目なんだ」
そう言って抱きしめてきた。
「ずっと傍に居てやるから‥」
「うんっ‥」
嬉しそうな声音と共にきつく抱きしめ返された。






俺の弟。
誰よりも強くて頭がいい。



だけど本当は淋しがり屋で甘えん坊。
俺の可愛い弟。





そして『恋人』―――――。


それは、甘い甘い関係。
まるでチョコレートのように、ほろ苦く甘い‥
病み付きになる。







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