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□海に行こう!!
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『海に行こう!!』








事の始まりは后の何気ない一言からだった。
「海行きてぇ‥」
暑さにダラけていた后がボソリと言った。
「海?海に行って何するの、后兄さん」
后の言葉に言は不思議に思い、質問する。
「そりゃ夏だし海行ったら泳ぐだろ、その後はヤキソバ食って、かき氷食って、また泳ぎまくって」
「兄さん、泳ぎたいの?」
「ん?まぁ‥暑いからな」
「そうか、なら僕が今から海に連れてってあげるよ♪」
そう言うと言は后の両肩に手を起き、ニッコリと笑った。
「こ、‥言?」
戸惑う后は何を仕出かすか解らない言の名を呼んだ。
「海に行こう」


ズプッ‥


足元か底無し沼の様に沈む。
「言っ‥、!?」
沈む早さが速く、あっという間に二人の体は飲み込まれてしまった。






次に目を開けると一面が青かった。
「え、‥ぅわっ!!」
「兄さん!?」
バランスを崩して后は海に落ちた。
「ぅわっぷ‥!!塩辛‥‥本当に海?」
「海だよ、だって后兄さん海に行きたいって言ってたじゃないか」
言に助けられながら后は海から出る。
「そ、そーだけどさぁ‥」
頭から足まで濡れた后は髪を掻き上げ、呟く。
心の準備もままならないまま、強引に海に連れて来られ揚句、海に落ちてずぶ濡れ‥。


だが、濡れたのは言のせいじゃない。


「后兄さん」
「ん?‥ンン――ッ!!」
顔を上げた途端、言にキスされた。
濃厚な深いキス。
濡れてるせいか動きが鈍る。
抵抗を見せるが言は簡単に后の手を押さえ込んでしまった。
「后‥兄さん」
「い、いきなり何すんだ‥よ‥」
后は真っ赤な顔で言に問う。
「濡れてる兄さん見てたら欲情しちゃって‥」
「はぁっ!?」
「だから后兄さん」
真顔で見つめてくる言が、怖い。
「兄さんを抱かせて?」
「嫌だぁぁぁぁ‥!!!!!!!!!」







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