Distance
□Distance 本編
57ページ/88ページ
◆Episode6◆
週が明けて月曜日。
綾人は俺と顔を合わせた途端に恥ずかしそうな顔をしたが、すぐに笑顔に変わった。
その後も少し綾人を観察してみる。
話し相手が誰であろうと、インテリ系の綺麗な顔にニコニコと笑顔が浮かんでる。
声まで明るい。
今まで悩みまくってた分、少しはホッとしたのだろうか。
昼休みになり、保が教室に入って来た。
俺や綾人は勿論の事、毎日恒例となってるこの風景に教室のざわめきもなくなった。
「あれ?名取…何か雰囲気違う?良い事でもあった?」
「え?…いや…別に…」
いきなり保に話を振られた綾人の目は明らかに泳いでいる。
俺は笑いを堪えるのに必死だ。
「ん?正英、何か知ってそう」
「は?俺?さぁ…知らないけど?」
「嘘だぁ…怪しい」
「怪しいってなぁ…」
「ずるい、俺だけ仲間外れにして」
保は頬は膨れている。
小学生みたいだ。
「何拗ねてんだよ。俺は何も知らないって言ってんじゃん」
「嘘だね。名取は黙っちゃってさ、目がキョロキョロしてんもん」
「あぁ〜…綾人にだって秘密の1つや2つあるだろ」
綾人に何か言って欲しいところだが、黙ってるので精一杯のようだ。