Hold on now !!
□Hold on now !! I
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あれから数日。
変態芸術家であるトマト頭の宮前健心は何かと声をかけてくるようになった。
といっても、校舎が違うので会う機会は殆どないのだが。
下校時に宮前が中央玄関で待ち伏せしているのだ。
気持ち悪いぐらいの満面の笑みで。
『あぁ…森川君…今日も美しい…』
『あのなぁ、宮前…』
『君を隠し撮りなんてしたら嫌われてしまうし、最高傑作はやっぱり本物を見なくてはならない』
『…もぉ、好きにしてくれ。隠し撮りとかヘンテコな玩具とか作らなきゃいいよ…』
という具合である。
しかし、宮前も芸術とやらから離れればテンションは普通に戻る。
たまたま食堂で会った時は、最初こそ訳のわからない挨拶?みたいな会話だった。
でも、その後はお勧めのメニューやら授業の話など、普通に楽しく会話できた。
ただ、俺をキラキラした目で見るのは相変わらずだったが。
宮前の登場と同じくして始まった下駄箱の写真も相変わらずで。
いつ入れてるのかは分からない。
毎日、色んなアングルの写真が入れられている。
でも、実質的な被害はローファーと上履き1足ずつだけ。
身体的な危害を受けたわけでもないし、まだ数日なので様子を見ている。
写真は、あまり気分がいい物ではないので、自宅の机にしまってある。
1枚1枚丁寧に見ても、これといって手がかりがあるように見えない。
ただ、校内ではあるけど、教室のものが1枚もないので、クラスメートではないのだろうと見当をつけた。