Hold on now !!
□Hold on now !! J
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下駄箱の写真が丁度10枚になった。
6時間目のLHRは『脳死判定と臓器移植』についてのビデオ上映。
色々と興味深いものだった。
後日、それについてのレポート提出があるというのが面倒臭いが。
SHRも終わった放課後。
学級委員長で隣の席の内藤が声をかけてきた。
「俺、プロジェクターを教科研究棟に返しに行くからさ、涼介悪いんだけど、暗幕を芸術棟まで持ってってくんね?」
「お〜、いいぞ」
「悪い。明日、ジュース奢るよ」
「マジ?サンキュ」
内藤はプロジェクターとノートPCを持って教室を出て行った。
俺もサッサと暗幕を片付けに行くべし。
芸術棟は学校の広大な敷地内の一番端。
黙々と勉学に励む普通科から隔離された場所にある。
なので俺達は選択授業の時ぐらいにしか足を運ばない。
向かうは、その芸術棟の一番奥。
余った机やら何やらがゴチャゴチャと置いてある物置だ。
暗幕を置いて外へ出ると、宮前健心に声をかけられた。
「あぁ…森川君。物置から出て来ても美しい…」
「何言ってんだ?相変わらずのアホだな。つか宮前はこんなトコで何やってんだ?」
ここは校舎の裏で、俺のように物置に用事がある奴ぐらいしか来ない。
「そこの紫陽花をスケッチしてたんだ」
なるほど。
確かに宮前はスケッチブックを抱えている。