Hold on now !!

□Hold on now !! @
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シャワールームに持ち込んだ代えのボクブリ1枚でロッカールームに戻り、タオル等をロッカーに入れる。
そのままの格好でロッカールームの隅まで歩いて行けば、洗面台が6つ並んだ場所がある。
そこには、ドライヤーも完備されている。


椅子に座って髪を乾かしていると隣の椅子に誰かが座った。


「お前、思った以上に良い身体してんのな」


何かと思って声の主をチラッと見れば俺を見ているではないか。
つか、思ったよりって何?


話しかけられて無視すんのも気まずい。
同じ歳ぐらいだけど、何だかチャラチャラしてそうな外見してるし…。


適当に流して別れるのに限るな。


そう思って無言でドライヤーを使っているわけだが、その男は俺の事をずっと見ている。
むしろ、ガン見ってやつだ。


「あの…何ですか?」

「あはは、気にしないで髪の毛乾かしちゃいなよ」


とりあえず視線は気持ち悪いが、髪を乾かしながら鏡の反射を利用して男を観察してみる。


顎や肩口にかかる長めの髪は綺麗な栗色で無造作にウェーブがかかっている。
その長めの前髪から覗く顔は、やや吊り目だが綺麗な二重だし、鼻も高い。
いわゆる、美形だ…チャラいけど。


身長も俺と同じぐらいだろうか。
座ってるからイマイチつかめないけど。
Tシャツを着ているからわからないが、俺よりガタイはよさそうだ。
まぁ、ジムにいるぐらいだから良い身体してて当たり前か…。


「森川涼介君でしょ?」

「ぇ…」


ドライヤーのスイッチを切った所で、待ってましたと言うように男が話かけてきた。


つか、誰コイツ…。


「英蘭学園の。俺も一緒のトコ通ってるんだよねぇ」

「へぇ…」


こんなヤツ見た事ない。
ってか、何で俺の名前を知っている。


「へぇって、ノリ悪いねぇ。俺、南龍雅っての。2年F組ね」

「…2年A組デス」


クラス遠いし…ってか校舎違うし。
まぁ、同じ学校の同じ学年なら名前を知ってても不思議じゃないかもしれない。


「何でジムなんか通ってんの?部活入ればいいのに」

「上下関係とかうっといし、体育会系でもないし。ってかそれを言うならアンタもじゃん」



確かに体育会系には見えないよねぇと男は笑う。


「アンタじゃないよ、龍雅ね。俺はバイト」


有名進学校の生徒が、バイトねぇ…。
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