Hold on now !!
□Hold on now !! A
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今日は月曜日で、朝早くから家政婦さんが来てくれる日。
彼女が朝食と一緒に用意してれた弁当がある。
屋上で食べる事にしよう。
栗本は寮生だから食堂だし。
自宅通学をしているが、父親はNY本社に転勤。
母親も元々通訳や翻訳の仕事をしていて、それなら転勤について行っても仕事が見つかると、一緒にNYへ渡って楽しく過ごしている。
日本の自宅で一緒に住んでいるのは兄貴だが、大学生で殆ど家に居ない。
週3回来てくれる家政婦さんが食事を冷蔵庫に作り置きしてくれて、俺は何とか食いつないでいるわけである。
折角屋上に来たならと、入口の横にある梯子を使い校舎で一番高い所へ上がる。
コンクリートの上に広げた弁当は色彩豊かな手の込んだもので、家政婦さんに心の中で感謝だ。
弁当も食い終わり寝っ転がってイヤホンから音楽を聴いていると、真下からドアが開く音が聞こえた。
暫くすると、再びドアが開く音がする。
誰だろうと思って下を覗くと、龍雅と知らない小柄な男だった。
「ねぇ、いいでしょ先輩。金曜日楽しみにしてたのに、メールでブッチしたの先輩なんだから今日付き合って下さいよ」
「しつこいなぁ…悪かったって謝ってんじゃん」
金曜日って…先週の金曜日か?
オイオイ、俺じゃん…。
予定があるのに何で俺なんか誘ったんだよ。
あの猫撫で声からすると、明らかにあの後輩君は龍雅とヤリたいのだろう。
栗本が言ってた事はどうやら本当らしい。